夏休みが「余白の時間」確保のチャンス。体験型学習は学びの宝庫。

プロジェクトメッセージ
2024.07.02

2024年6月に、ベネッセ教育総合研究所 主席研究員 木村治生氏に寄稿いただいた「経験から学ぶことの大切さについて」に呼応する形で、みらいキャンパスが提供する「体験型の学習」の意義やその環境づくりについて、総合責任者の城座(しろざ)が語ります。 

子ども時代に夢中で取り組んだことが、大人の今に生きている 

おとなのかたに、「今の自分につながった、子ども時代、若いときの体験や経験ってどんなことがあるでしょう」と尋ねてみると、おどろくほどに、子ども時代に好きだったことが、おとなになってからも好き、というかたが多いものです。7月の「おとなの対話の会」で対談予定の、バオバブ保育の会 保育士の國分幸雄さんは「雲が好きだった。それが高じて、天気図や気圧計に夢中になり、自分で天気を予想するのが得意になった。いまでも雲を眺めるのが大好き」と語る。対談予定のもうおひとり、ベネッセ教育総合研究所 主席研究員の木村治生さんは「数字やデータを眺めたり、いじったりするのが大好きだった。時刻表を読み解くのが好きで、小学生のころ、自分で作ったプランをもとに友だち数人と電車で遠方まで出かけてみたり。今も結局、「数字やデータ」に関わる仕事をしている。すべて、つながっているんだなあ!」と語ります。

その木村さんの話をきいていて自己認知したのだが、思えば私自身、小さなころからプロジェクトチームを組んで、集団でゴールに向かって協働するのが好きな子であった。音楽好きだったので、合唱団や吹奏楽部でコンクール入賞をめざしていたころ。仲間と指導者との関係をとりもったり、交渉したり、励ましたり、盛り上げたり。そんなことを、ワイワイと集団でしながら、ひとつのことを成し得ていく快感がたまらなく好きだった。それが高じて、高校から大学にかけては演劇活動に夢中になった。お芝居を成功させて、最終日にバラシといって、舞台美術を一斉に取り外し、舞台を解体するのだが、その最終日の興奮度合いは、陶酔の域でした。そんな自分が、ベネッセに入社後も、チームワークが好きで、今は、未来の学びプロジェクトを率いている。人の個性や好み、得意は変わるものもあれば、変わらないものも多くある。人生はつながっているのだ。 

「夢中、没頭、挑戦」などの機会の確保が難しい現代の忙しさ 

木村さんの寄稿文(最下部にリンク)によると、子どもたちが能動的に関わり、自ら挑戦し、達成感を得られるような経験は、それほど多くは為されていないことがわかります。それもそのはず、実際、現代の子どもたちはとても忙しい。学校、習い事、部活動、塾などに時間をとられ、家でのつかの間の休息は、家族との団らんのほか、スマホやタブレット、動画やゲーム、SNSなどで時間が過ぎていくことも多い。昔は「時間だけは豊富にある」というのが子どもの特権だったかもしれないが、今は、「情報」も「やるべきこと」もたくさんあるのは、おとなも子どもも同じだ。「余白」が少ない中で、少しでも子どもが目をキラキラさせて夢中になれるような経験、体験を、と習い事やクラブ活動を吟味されるご家庭も多い。意図的に「夢中、没頭、能動的に挑戦していく」ような機会をしつらえていくことが必要になっているような時代だ。 

夏休みこそ「余白」を編み出すチャンス 

「ぼーっと考える」「ヒマだなあ、なにかないかなあ、と手持ち無沙汰になる」ような「余白」があってこそ、「じゃあこれをやってみようか」「あれを作ってみようかな」と手や心が動き出すもの。普段はなかなかそんな「余白」は生み出しづらくとも、夏休みは絶好のチャンス。特別な旅行やお出かけをしこまなくても、むしろ「なーんにもない!」状態、環境こそが、新しい遊びや新しい体験が生まれてきやすい、絶好の機会でもあります。 

探究心≒知りたい、やってみたい、つくってみたい!のタネを蒔く 

家の周りに大自然が広がって心ゆくまで自然を堪能できるような環境、異年齢の子どもたちがワイワイと集まって、自然に遊びや学び合いが起こるようなコミュニティであれば、それだけで遊びの場、学びの場としては十分かもしれません。自然は学び、遊びの大きな舞台。でも都市部や、安全性の確保が難しいような地域ではそうはいきません。いつもと同じ部屋で、ぼーっとしていても新しい遊びは思いつかないなあ、、、やっぱり、ゲームやスマホに手が伸びてしまう、、、という小中学生に、「探究心のタネ」を渡していくのが、「みらいキャンパス」。子どもたちが「好き」なこと、「気になる」こと、「興味がある」ことをテーマにして、「こうすると、あんなことが起こっちゃうかもよ」「これをしたら、次はどうなるかな」「こっちを調べたら、もっとつながりがわかるかも!」と、そのテーマをトコトンおもしろがることに夢中なおとな(講師)が、子どもたちの「探究心」に「火をつけて」いきます。 

やりたいこと、知りたいことをトコトンやり抜くことで身につく「学びの自走力」 

夢中で調べる。無我夢中で組み立てる。ドキドキしながら発表する。失敗をものともせず乗り越えていく。何度でもチャレンジできる。称賛しあう、認め合える、敬いあう。「正解のない問い」を追いかけながら、自分なりの学びを深めたり、仲間と広げたりして進めていく、プロジェクト学習。みらいキャンパスは、講座の中で「その道に情熱を燃やす大人や仲間」「その道、そのテーマのおもしろさ、奥深さ」に出会っていくことができますが、その探究は、レッスンの時間の中だけに留まりません。自分の探究心に一度火がつけば、それは日々の生活の中で思い起こされたり、再現されたり、もっとやってみたくなったり、違う方法を見つけたり。螺旋(らせん)階段のように、つらなり、その先の学びへ、さらなる探究へと広がっていくことも多いものです。同じ講師、同じ仲間と3ヵ月間など、長期に渡って共通のテーマを探究する「コース・探究室」では、学びを振り返ったり、次の展開を皆で考えたりする機会もたくさんあります。長く一緒に過ごすことで、人間同士の関係性も生まれ、認められ、励まされ、自己肯定感をあげていく機会も多く得られます。こうした心理的安全性の高い、ポジティブな学習環境の中で、「自分が進めているプロジェクト」の意義や、その中での自分の役割や達成度合いをメタ認知し(俯瞰して眺め)、次の行動、次の目標設定へとつなげていくことができ、より学びを前へと推し進める「学びの自走力」もついていくのです。 

まずは夏休みの「余白時間」を確保し、「好き、夢中をトコトン」追える環境づくりを 

夏休みは、宿題があっても、塾や習い事があっても、まだまだそれでも時間がたっぷりあります。あらかじめ予定で埋め尽くさずに、「おとなの意図や都合」で子どもの時間をコントロールしてしまいすぎずに、「自由時間」をたっぷり確保したいものです。そんな「自由時間」に、子どもが自ら「あ、あれをやってみようかな」「これを調べてみたいな」「つくってみたいな」と手を伸ばしたくなる探究のタネを、いくつかのみらいキャンパスの短期講座で、拾っていただくのもよいかもしれません。もしくは、2024年7月14日には、東京都多摩市で、夏休みの探究のタネをみつける「キミだけの自由研究発見フェス」も開催されます。 
時間やコストをかけすぎることなく、1つでも2つでも、自分の興味が重なるテーマの講座やワークショップを受講してみることで、興味のタネが心に蒔かれると思います。そのタネは、講座を離れたあとでも、夏休みの時間のあるときに、さらなる「やってみよう」という意欲や好奇心の芽生えにつながるでしょう。 

ラムネを使ったサイエンス実験や、木製ブロックを使った街づくり、手軽にできる物理マジックなど、どれも、日常の中にある素材で、子どもたちが創造性を発揮して、遊び、体験し、学べるテーマがずらり。おとなも「ああ、こういう遊び(体験、学び)が子どもたちをワクワクさせるんだ、これが探究的、体験型の学びなんだ」とわかり、日ごろの家庭の中での学びの環境づくり、おとなの関わり方についてのヒントが得られ、ひらめきも生まれます。 

「子どもたちが夢中になれる没頭体験」「繰り返し失敗したり、試行錯誤したりする中で得られる達成感の尊さ」「仲間との協働体験から得られる刺激や興奮」「それらの体験から育まれる自己肯定感」をより多くの子どもたちが体感できる夏休みとなりますように。 

ベネッセ みらいキャンパスは、たくさんの「探究のタネ」をおいて、オンライン講座で、東京開催のリアルイベントで、お待ちしています。夏休みこそ、「好きをトコトン追求できる」体験型の遊びと学びをたっぷりと! ぜひこのワクワク、ドキドキを体感しに、みらいキャンパスをのぞきにいらしてください! 

城座多紀子 Takiko Shiroza (みらいキャンパス総合責任者) 

<参考リンク>  

ベネッセホールディングス プレスリリース【小学生から高校生の学びに関する9年間の追跡調査データ】「チャレンジングな経験」は 子どものさまざまな能力と関連  

調査の詳細(ベネッセ教育総合研究所ホームページ) 

木村治生氏寄稿「経験から学ぶことの大切さについて」 

みらいキャンパス キミだけの自由研究発見フェス(東京都多摩市での開催)

みらいキャンパス 夏のオンライン講座 

みらいキャンパス おとなの対話の会「本当の話をしよう」7月の会 

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