遊ぶことが最大の学び。学ぶことが最大の遊び。子どもは遊びと学びの天才だ。

プロジェクトメッセージ
2024.01.12

2024年1月7日(日)に東京都新宿区にて実施した、みらいキャンパス初の体験型ワークショップ。子どもたちの創造パワーがバクハツしました!みらいキャンパス総合責任者の城座が捉えた、その「遊びの本質≒学びの本質」とは!?

遊びと勉強の境目ってどこでしょう?

「遊びと勉強の境目」ってどこにあるのでしょうか?そんな問いを2年前の「未来会議」(保護者の皆様との共創対話の会)で提示したところ、「自分でやりたいものが遊び。誰かに、何かに、やらされる、やらなくてはならないのが勉強。そして、自分から知識や経験として自発的に得ていくものが学び」という回答をくださった保護者のかたがいました。

そんなことを思い起こしながら、「ああ、遊びこそが学びで、没頭する学び体験は遊びそのものだ」という強烈なメッセージが、約3時間の体験型ワークショップのあいだじゅう、身体の中をかけめぐっていました。いやあ、子どもの遊びとは、本当にすばらしい!!

「フムフム」「ニヤニヤ」「コソコソ・・・」なにやら「たくらむ」ことから、それは始まる

アメリカの教育学者、哲学者のジョン・デューイ(John Dewey, 1859-1952)は、子どもは「学びたい欲求」「知りたい欲求」「創りたい欲求」「コミュニケーションしたい欲求」などの本能的欲求を持っている、と論じました。その説のとおり、体験型ワークショップで、講師の皆さんがすることは、その欲求に火をつける、ほんの少しの遊びのタネを渡すことだけ。

小さなブロックを手渡す。ホンモノの木や布や紙の香りをかがせる。謎解きをしたくなるような「質問カード」を子どもたちの好きにまかせて選ばせる。大きな真っ白な紙の上に、裸足で上がらせる。

すると、子どもたちの胸が大きくふくらんで、「描きたい」「創りたい」「組み合わせたい」「高くしたい」「つなぎあわせたい」「走らせたい」などと「〇〇したい」が次から次へと生まれていきます。隣の子から、またその隣の子へと、その「〇〇したい」は次々、伝播もしていきます。

協働作業の中で、協調が生まれ、尊重意識が芽生え、刺激をもらい、工夫が生まれる 

皆で何かを成し遂げようとすると、そこにはちょっとした軋轢や緊張が生まれます。子どもたちは、その柔軟な心持ちと好奇心で、それらを難なく乗り越えていきます。隣の子とつながり、共に何かを創り上げる過程の中で、状況に気づき、隣の子を思いやり、励まし、共によい世界を創るために工夫しあい、それを喜びあうのです。まるでオーケストラのように、それぞれのメロディが共鳴しあうその場の空気感の美しさに、心打たれていました。創造的な学びの場。互いと互いを敬いあい、認め合い、高め合える真の学びの場。たまに、ズッコケちゃうようなシーンもあるので、空気は絶えず、やわらかく、受容的で温かい。 

そうだ、こういう学びの場を創りたいのだった、とあらためて子どもたちと向き合うことで教えてもらいました。 

子どもたちが必要としているのは、ほんの少しのキッカケと、大きな懐のような心理的安全性 

「遊びのタネ(少しのきっかけ)」を受け取ると、子どもたちはすぐに何かをたくらみはじめ、遊びが生き物のように動きはじめます。それを止めることなく、水が自然に高いところから低いところへと流れるかのように遊びが自由に伸び伸びと進んでいくよう、おとなは見守り、受け止め、ほんの時折、助け舟を出していきます。ご一緒した「たんQ教室」の講師の皆さんは、「お、いいね!」「すごいじゃん!」とたくさん声かけをしています。建築士の野上むつみさんは、「どこが一番気に入っている?」「特に工夫したのはどこ?」「うわあ、それいいね!」と、細部まで目を凝らして、すべての子どもたちの創意工夫を認め、さらなる遊びゴコロを引き出していきます。 

子どもたちは、認められていることがうれしくって、楽しくって、すっかり横の友だち(ほぼ全員が初対面です)と仲良くなり、次回もまた遊ぶ約束をし、また中には、閉会後もいつまでもその場に居残って、教室内をぐるぐる駆け回っている子もいました。 

「自分らしさを発揮する喜び」が「生きることの喜び」 

「遊びが学び」って、いわれてみると、それほど特別なことではなく、大人も同じだ…とすぐに気づきます。自分がやりたくてやっていることだと、もはや「仕事」も「仕事」ではなく「志事(しごと)」になる。そんな「志事」からは自然と学ぶことも多い。夢中でやっていることは、自分にとって「充実した没頭体験」であり「勉強」でも「仕事」でも「やらされ家事」でもなくなる。そんな「夢中体験」「没頭体験」で人生の長い物語をつくっていけたら、きっと幸せ人生ですね。(もちろん大人の現実は、そんな理想とばかりにはいきませんが、ほんの少しでも、そんな没頭時間を増やせたら…自分なりの「幸せ人生」に近づけていけるのかな、と思います。) 

今は亡き、医学者、小児科医の小林登先生(1927-2019、チャイルド・リサーチ・ネット所長)は、「親御さんから、『伸びる子に育てるにはどうしたらよいですか?』とよく聞かれるが、子どもをできるだけ『生きる喜び』でいっぱいにすることですよ、と答えています」とおっしゃいました。私が先生に、「『生きる喜びでいっぱいにする』って、言葉をかえれば、子どもたちの目がキラキラと輝くような瞬間をたくさん生きさせてやること、ですね」と応じると、うれしそうに目を細めていらっしゃいました。 

子どもたちは、イキイキとした目をしているときに、より、伸びていきます。仲間との協働や、新たな挑戦を通して創意工夫を重ねるなかで、自分を試し、世の中の反応をみて、手応えを得て、新しい知恵や経験知を学びとっていくのです。 

そんな学びの場を子どもたちの生活の中に、あたりまえに根付かせていくことを目標に。この1年も、おとなの私たちこそ、創意工夫、創造性でいっぱいの一年にしていきたいと思います。 

今年も、「未来の学びプロジェクト」は、やわらかく、しなやかに、未来への明るい目線をもって進んでまいります。この一年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 

城座多紀子 Takiko Shiroza (みらいキャンパス総合責任者) 

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