「作りたい!」を引き出す、ねじの専門家のマイクラ講座
子ども向けの工作ワークショップ(※)を数多く主催してきた仲本氏(仲本主任)。「オンラインでモノづくりを知ってもらうには?」を追究したら、マイクラの中で「作り手の思い」を感じられる講座ができました。子どもたちの目の色が変わる瞬間のエピソードをご紹介します!
■「ネジから考えるモノづくり」シリーズ講座/ねじエンジニアと世界を広げよう! inマインクラフト
■参加者の学年:小学3年生~6年生
※株式会社コノエでは、作る楽しさ・大切さを体験できるワークショップ「にじいろのネジプロジェクト」を、子ども・ファミリー向けのコンテンツ開発等を行う株式会社キッズプロジェクトと運営しています。
「無ければ作ればいい」……根底にあるのは発明思考
最初にお伝えしておきたいのは、第一線で活躍する仲本主任の講座だからこそ、常に感じられるモノづくりの考え方です。
例えば家具が欲しいとき、部屋のスペースを測る道具が無かったら? 100円ショップでメジャーを買うかもしれません。インテリアショップに持ち帰れるメジャーが置いてあることも。なんでも既に誰かが用意して揃えてくれている便利な時代です。
主任が6月に企画したのは「発明のゴクイを『手作りメジャー』で体験しよう!」という講座。A4用紙で紙メジャーを作ります。
便利な道具を扱ったり、正確に測ったりすることはモノづくりの現場でとても大事なこと。でも、もしも「誰かが用意して揃えて」くれていなくても、代わりを探したり、新しく作ったり。正解のない未来に向かう子どもたちが、自分で考えて問題解決していけるように。そんな思いに溢れているのが、仲本主任の講座です。
リアル・モノづくりのプロが、マイクラ?
もともとマイクラ愛好家の主任ですが、モノづくりのお仕事で、CAD(コンピュータ上で図面を作成するツール)を動かす前にマイクラで形を作ってみたりするのだそうです。
マイクラのブロックは1m×1m×1mの立方体とされており、サイズ感や造形を調整するための試作として適しているのだとか。
木材など実際の材料を使って試作をすると材料費がかかってしまいますが、試作をして調整を重ねることが品質向上にもつながります。
ゼロからモノを生み出し、立体物を作る想像・創造力、失敗を恐れずトライ&エラーで具現化していく力…。モノづくり最前線の考え方は、世界中で遊ばれているマイクラの中で身につくのです。
プロだからつくれる「作り手の思い」の詰まった世界
いよいよここからは、主任のマイクラ講座の一幕をご紹介していきます。
マイクラの建築で「好きなものを自由につくれるのが楽しい」というお子さまが多いと思います。だから、主任がつくったマイクラの「ワールド」は楽しいしかけがいっぱい。「遊び」を中心に授業が進みます。
あるときは、小学3年生のNさんが「川下りで競争しよう!」と他の小学4・5年生の参加者へ提案。講座で使う「教育版 Minecraft」に不慣れな子もいますが、操作方法を受講者どうしで教え合うなど、少人数対話型レッスンならではの異年齢交流も生まれていました。
特にマイクラ好きの子は、「主任ワールド」を訪れると「すごい!」と連呼し、「どういう仕組みですか?」と聞いてくれます。主任は「仕組みは実はシンプルなんだよ……」と解説し、自然とモノづくりの話題に。
今までゲームの実況動画などでしか見たことのないような完成度の高いワールド。さらに仲本主任は、「動かせるしかけ、実際に遊べる仕組み」にこだわっています。見た目だけ美しい張りぼてではなく、訪れた人を「楽しませたい」という目的のもと作られているから、マイクラ好きの子どもたちも目の色を変えて、作り手の工夫に興味を持つのです。
原点は「人を傷つけるものは、作ったらアカン」
子どもたちは「遊び」の中で、ときどき楽しくヒートアップし過ぎてしまうことも。ワールド内の物を壊したり、他の参加者を悲しませたりする行為があったときは、仲本主任が間に入ります。
施設を壊してしまった子がいたとき。「主任にはやってもいいけど、泣く子もいるよ。けんかになるよ」とさりげなく伝えました。
モノづくりは、誰かを「楽しませたい(喜ばせたい)」という目的・思いのもとに成り立っている――。そんな思いが込められています。
一方、主任はみんなで同じ活動をすることを強要はしません。「遊び」をする中で自分で「作りたい!」と思ったら、授業中に作り始めたっていい。
主任ワールドに触れて「どんな仕組みだろう?」と興味を持ち、遊ぶ中で次は誰かに楽しんでもらえるものを「作りたい」、楽しんでもらえるために「工夫したい」……そんなモノづくりの原点が感じられる講座を目指しています。
一度広がった世界は、「遊び」の中で深まり続ける
仲本主任は、マイクラ愛好家ならではの視点で「マイクラで授業をすること」の意義を語ってくれました。
「1回のワークショップやオンラインレッスンでモノづくりの大切さに気づいても、いつしか忘れてしまうこともある。
マイクラは、子どもたちが頻度高く触れるもの。マイクラの『遊び』の中で気づいた学びは、遊ぶたびに思い出せる」
ゲームとしてマイクラに取り組んでいた子どもたちが、「次は誰を、どんなふうに楽しませる建築を作ろうか?」と、考えながら過ごしてくれることを願って。
主任のモノづくりは続きます。
■株式会社コノエによるオンライン講座は随時開催しています。
【公式】みらいキャンパス | ベネッセコーポレーション (benesse.co.jp)
Written by Mika Amaya