【動画あり】ゆっくりと自信・思いやりの心が育つ学びの場
2023年9月~11月にみらいキャンパス初の長期におよぶコース講座(全12回)をトライアル実施しました。今回、モニターとして参加してくれた子どもたちが、12回のレッスンを通して成長していく様子を約10分のダイジェスト動画にまとめました。
特に印象的だったのは、回を重ねることによる子どもたちの関係性の変化です。全12回終了後のアンケートではおうちの方から
「自分の意見を以前は全くもって言えなかったのが少しは言えるようになってきました。」
「オンライン授業でこんなに仲間意識が芽生えるとは想像もしていなかった。」
という声をいただきました。
みらいキャンパスが大切にしている【少人数で学ぶ】【対話を通して学ぶ】といった学びの環境づくりは長期になるほど、その効果を発揮すると実感しています。「うちの子は対話型の学びについていけるだろうか…。」「うちの子はオンラインの学びだと集中できなさそう…。」と不安に思われている方にこそ見ていただきたい動画になっています。
■数図形センスを育む 宇宙基地・絵本づくり
■参加者の学年:小学1年生~4年生
見どころ①:少しずつ安心・安全の場をつくっていく子どもたち
1日目、粘土を使ってオリジナルの星をつくっているときの子どもたちは生き生きとした表情をしていましたが、講師のむっちゃんから「どんな星をつくったの?」「どんな生きものが住んでいるの?」と質問されると、緊張からか表情が少し固くなります。まだ、自分の考えをだれかに説明するのは慣れていない様子。また、ほかの子が発表している間も、自分の作品づくりに夢中になってしまっているような場面も多々ありました。
みらいキャンパスの講座は少人数制なので、一人ひとりに発表の機会がたくさんあります。ものづくり系の講座では、ある子の作品や発表にほかの子が感想を伝えるという活動を積極的に取り入れています。このような活動をくり返すことで、発表に慣れるだけでなく、「だれかに感想をもらえるとうれしい。」ということに気づき、大人が「人の話をちゃんと聞きなさい!」と注意しなくても、自然とほかの子の発表を聞こうという気持ちが芽生えていきます。この講座でも、3日目には、ほかの子の発表を真剣な表情で聞いている子どもたちがいました。
動画には入れられなかったシーンですが、毎回のレッスンの最後に「今日1番、印象に残ったこと」を発表する活動がありました。前半は「〇〇がつくれて楽しかった」と自分の活動にまつわる感想が多かったのですが、後半になるにつれて「〇〇の作品が面白かった」とほかの子の発表にまつわる感想が増えていったのは、子どもたちの中でほかの参加者の存在がドンドン大きくなっていったからではないかと思っています。
見どころ②:影響し合う子どもたち
5日目、それぞれが折り紙で好きなかたちをつくる活動のなかで、自分のお気に入りのかたちのつくり方をほかの子にも共有したい、ということで子どもたちが先生になって教え合う場面がありました。動画にあったように、5日目のみずきさんのつくり方レクチャーは思ったかたちにならずに終わってしまいましたが、結果に関わらず、挑戦したこと自体を認めるようなやさしい空間があったことが印象に残っています。6日目に「もう1回挑戦したい」とみずきさんから申し出があり、見事リベンジを成功させていました。「もう1回」の機会があるのも、たっぷりと時間がある長期講座の良さだと思います。
動画には入れられなかったシーンですが、マイブームが「元素」で、いくつかの作品に「元素」を取り入れて発表するりゅうさんに触発されて、ほかの子が元素の本を買ったり、家にある本を読み直したりと講座の枠を超えてお互いに影響し合っている場面もありました。
見どころ③:“届ける相手がいるものづくり”の面白さを発見する子どもたち
途中までは、「自分が好きなもの・表現したいものをつくること」を楽しんでいた子どもたちでしたが、自分がつくった『さんすう絵本』の読み聞かせをする活動を通して、徐々に「だれかを楽しませるための作品をつくるともっと楽しい。」といった気持ちが芽生えていったように思います。もともと発想力に富んだ子どもたちでしたが、かず・かたち・計算といったしかけを活かして、次の展開を予想させるようなクイズを取り入れるなど、聞いてくれている人を楽しませたり、驚かせたりするような工夫を凝らしている様子が印象的でした。
最終回の発表はぜひ動画で見ていただきたいですが、どの発表もみんなが楽しめる工夫がたくさんありました。
おうちの方によると、子どもたちは最終回に向けて、レッスン外の時間を使って読み方・見せ方の練習をしていたそうです。そのような宿題を出したわけではないのですが、「届けたい相手がいる」からこそ、自然と練習したいという気持ちになったのだと思います。
見どころ④:ちょっと誇らしげな子どもたち
最終日の発表会に向けた意気込みを語るシーン、これまで、自分のこだわりを詰め込んだ巨大な宇宙基地や大好きな「元素」にまつわる絵本など、個性をバクハツさせていたりゅうさん。トップバッターでしたが堂々とした発表で、後に続くみんなが勇気づけられていたように思います。
こちらも、意気込みを語るシーン、人前で声を出すのが得意ではないというアオさんから「頑張ります」ではなく、「頑張りたい」という表現が出てきたことは、このメンバーで築いてきたこの場が、アオさんにとって安心して「挑戦」できる場だったことを物語っているように思います。
今回のメンバーの中では最年長のめいさんの発表は、思わず「すごすぎた」という感想が出てくるほど、圧巻でした…。作品づくりの過程で、「ほかの子たちは低学年だから…」と、見てくれる人のことを考え、扱う計算の種類や見せ方を工夫していたそうです。(おうちの方より)
みんなを楽しませることが得意なkazuさん。
「だじゃれ」というタイトルの絵本だったのですが、最後のだじゃれの「白いしろ」のページをめくると「まちがいさがし」が出てくるという驚きと、まちがいさがしの楽しさで、この日1番の盛り上がりをつくることができていたと思います。
いつも、率先してみんなの発表に対する感想をくれるみずきさん。みずきさんの感想はいつも、言われた側がうれしい気持ちになる言葉であふれていて、この素敵な空間のムードメーカーでした。最後の最後まで、「みんながんばった」と自分だけでなく、仲間のことを考えているところが印象に残っています。
子どもたちが主役になる学びの場は、みんなで同じ活動をしていても、一人ひとり、こだわりのポイントやどんなことに挑戦したいかが異なり、結果として得ている学びや変化の様子も異なります。心理学の分野では、子どもに限らず、人間には「成長したいという欲求」が備わっていると言われていますが、今回の講座を見てみると、子どもたちそれぞれに伸びたい方向があって、講師のサポートを受けつつも、子どもたち自身でそれぞれのチャレンジングな目標を設定していました。子どもの「成長したいという欲求」を満たしてあげるために大人が意識するべき重要なことは、「社会的な望ましさのような、大人都合の価値観で子どもの成長を方向づけたくなる気持ちをぐっとこらえて、子どもがどんな方向に伸びたいと思っているのかをみとり、支援すること」なのではないかと、考えさせられました。
■みらいキャンパスの長期講座は今後、様々なテーマで開催予定です。
■一級建築士のむっちゃんの長期講座 【建築士になって理想のたてもの・くらしをつくろう!】は4月9日(火)開講予定です。
【公式】みらいキャンパス | ベネッセコーポレーション (benesse.co.jp)
Written by Hayate Saito(Learning Experience デザイナー)