探究学習とは何?メリットや進め方、テーマも紹介

プロジェクトメッセージ
2024.04.02

探究学習とは一般的に、自ら課題を設定し、情報を収集、分析して学習することです。課題設定能力や、情報収集能力など、探究学習を通してさまざまなスキルを身につけることができます。この記事では探究学習のメリットや進め方、おすすめのテーマについてご紹介します。

探究学習とは

探究学習とは、子どもが自分で問題や課題を設定し、それに対して情報を収集・分析したり、他者とディスカッションしたりしながら、答えを探していく学習のことです。

小学校や中学校では、「総合的な学習の時間」で行うことも増えており、高校においても「総合的な探究の時間」という授業が教育課程に組み込まれています。その背景としては、探究学習を行うことによって、変化の激しいこれからの社会に必要な力を育むことができると考えられていることが挙げられるでしょう。

探究学習は、これまでの教科書に沿って学ぶスタイルとは異なり、自分で課題を設定し、学びを深めていく学習です。そのため、個人でどのように探究学習を進めればよいか分からないと思うことも多いのではないでしょうか? そこで、この記事では探究学習のメリットや注意点、進め方、おすすめの探究テーマなどについて解説していきます。

探究学習が注目される理由

近年、特に注目されている探究学習ですが、話題となっている理由について見ていきましょう。

現代社会は、グローバル化や科学技術の発展により、変化が非常に激しく、こうしていれば安心といった解を見いだしにくい時代です。こうした変化に対応していくためには、総合的に物事をとらえ、課題を発見し、どうすれば解決できるかを自分で考える力が必要になります。それには、これまでの教科学習のように、教科書に沿って学び、暗記学習や反復学習で知識を身につけるだけでなく、自分で問題を考え、学び進めていくような学習が必要です。

さらに、これからの時代は、問題に対して早く正確に解答を出す力よりも、複雑で正解が1つとは限らない問題にも取り組み、自分なりに考え抜く力が求められるでしょう。探究学習は、こうした社会で求められるスキルをつちかい、課題設定能力や情報収集能力、分析力やコミュニケーション力といったスキルが身につくことが期待されます。また、探究学習を行うことによって、好きなことについてじっくり学ぶ経験ができ、勉強に対するモチベーションの向上にもつながるでしょう。

こういった社会の変化や、今後求められるスキルを身につけるための学習方法として、探究学習は注目を集めています。

探究学習に関する文部科学省のサイトはこちら

探究学習のメリット

探究学習には、さまざまなメリットがあります。以下では主なメリットについて2つご紹介しましょう。

・課題設定能力が身につく
・勉強のモチベーションが高まる

課題設定能力が身につく

探究学習を行うことの大きなメリットの1つは、課題設定能力が身につくことです。従来の教科学習では、出された問いに対し、早く正確に解答を見つけることが求められました。しかし、探究学習ではまず、自ら課題を設定することが必要になります。自ら興味・関心のある分野において課題を設定し、必要な情報を集めたり、聞いたりして、自分の力で考え抜くことが大切です。

勉強のモチベーションが高まる

興味のあることや好きな分野で課題を設定し、突きつめて考えたり学んだりすることは、与えられた問題の正解を求めるだけの学習と比較して、学ぶことに楽しさを感じられます。こうした学びを通じて、自分に自信が持てるようになることも1つのメリットです。自分で選んだテーマについてとことん考え抜く経験は、勉強や学習全体に対するモチベーションが向上するきっかけにもなります。探究学習によって学ぶことの楽しさを知ることができれば、子どもの自発的な学習にもつながるでしょう。

探究学習の進め方

探究学習の進め方には課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現の4つのプロセスがあります。詳しく見ていきましょう。

・課題設定
・情報収集
・整理・分析
・まとめ・表現

課題設定

探究学習では最初に、子ども自ら課題を設定します。課題は自分の興味のある分野であることが重要です。算数や理科、社会といった学校の教科に限らず、自然やアート、プログラミングなど、興味のあるものを選ぶようにしましょう。

とはいえ、小中学生が自分で課題を立てるのは難しいものです。子どもが課題設定で困っている場合は、適切な課題を設定できるように保護者がサポートしてあげましょう。ただし、探究学習における保護者の役割は、あくまで課題を与えることではなく、子ども自身が適切な課題を設定できるようにサポートすることです。

情報収集

探究学習を進めていくなかで、その分野についての情報を収集するために、観察、実験、見学、調査、探索などを行います。情報の収集において大切なことは、どういった課題を設定するかによって収集する情報に違いがあることです。探究学習の質を高めるためには、数値データ、言語化した情報、グラフや図表など、さまざまな形態の情報を幅広く収集することが求められます

たとえば、環境問題について探究するためには、気候変動の現状を把握するだけでなく、世界各国の二酸化炭素排出量を調べたり、環境問題に取り組む企業へ見学に行ったりといった、さまざまな情報収集が考えられます。

整理・分析

情報を集めたら整理・分析を始めましょう。収集した情報それ自体は、一見つながりのないように見えますが、整理したり、分類したり、関係性を考えたりすることで、それぞれの情報に因果関係や関連性を導き出したり、共通点を見つけたりすることができます。そして、集めた情報を整理し、分析することで、最初に設定した課題に対する解決策やアプローチ方法が分かります。

たとえば、第1次~4次産業革命の変遷をたどることで、環境問題との結びつきが分かり、解決策が見えてくるかもしれません。

まとめ・表現

探究学習の最後には、自分で課題に対して、まとめたものを発表することが大切です。発表は、収集した情報を分析し、自ら吸収して考えまとめたものを、ほかの人にアウトプットする役割を担います。自分の考えを他者に伝えることで、さらに深い学びを得られたり、課題がより鮮明になったり、新たな課題が見つかるきっかけになったりすることもあります。

学校の授業であれば発表の場が設けられる場合もありますが、個人で探究学習を進める場合は、家庭内で保護者が聞いてフィードバックしてあげることで、モチベーションのアップにつながるでしょう。

ベネッセの学びコミュニティ「みらいキャンパス」の探究講座では、授業内で学んだことを最後に発表し、講師の先生やほかの受講者とアウトプットを共有する経験ができます。みらいキャンパスについての詳しい情報は以下のページをご覧ください。

●みらいキャンバスについて詳しくはこちら
【公式】みらいキャンパス | ベネッセコーポレーション (benesse.co.jp)

 

探究学習のおすすめテーマ一覧

探究学習のテーマは、子どもが興味のある分野から選ぶことが重要です。学校の勉強に関連することや学ぶことによるメリットなどにはこだわらず、環境や文化、自然など、子どもの好きなことや身近に感じやすいテーマがよいでしょう。

しかしテーマを選ぶとはいっても、制限がないだけに何を選べばよいか分からないという場合もあるのではないでしょうか?ここで、小中学生におすすめの探究学習テーマを分野ごとにご紹介     します。

・アート・表現
・グローバル
・サイエンス
・テクノロジー
・数・図形
・社会(よのなか)

アート・表現に関連するテーマ一覧

アートや表現に関する探究テーマの例です。絵を描いたり、工作をしたりすることに興味があるお子さまにおすすめです。

・新聞紙でものづくりを体験
・テーマを決めて絵画やデジタルアートに挑戦
・世界に一つだけのキャラクターデザインに挑戦

グローバルに関連するテーマ一覧

グローバルに関連する探究テーマの例です。海外の暮らしや文化に興味があるお子さまにおすすめです。

・世界各国の文化についての探究
・世界の料理についての探究

サイエンスに関するテーマ一覧

サイエンスに関連する探究テーマの例です。理科の実験や日々の生活の不思議、生き物などに興味があるお子さまにおすすめです。

・元素図鑑の作成
・物理現象の不思議を探究
・人体の不思議について探究
・昆虫や動植物の観察
・宇宙の不思議について探究

テクノロジーに関するテーマ一覧

テクノロジーに関連する探究テーマの例です。ロボットや動画コンテンツ、ゲームなどに興味があるお子さまにおすすめです。

・プログラミング探究
・動画やゲームの作成
・ロボットの作成

数・図形に関するテーマ一覧

数・図形に関連する探究テーマの例です。算数やゲームに興味があるお子さまにおすすめです。

・ゲームから算数の仕組みを探究
・ゲームクリエイターの仕事を探究

社会(よのなか)に関するテーマ一覧

社会(よのなか)に関連する探究テーマの例です。社会や環境、歴史に興味があるお子さまにおすすめです。

・SDGsについての探究
・戦国時代の歴史についての探究

探究学習をするときの注意点

探究学習は教科学習と異なる要素が多い分、注意点もあります。注意点については以下の通りです。

・テーマを広げ過ぎない
・情報の扱い方に気をつける
・分析の方法に気をつける
・発表した後のやりとりを大切に

テーマを広げ過ぎない

探究学習において、最初の段階である課題設定は非常に重要なフェーズです。適切な課題を設定するためには、テーマを大きく広げ過ぎないことを意識しましょう。あまりにも抽象的で広いテーマを扱うと、探究学習の難度が上がってしまい、どのように学習を進めたらいいか分からなくなる可能性があるためです。最初の段階で、広くいろいろなことに興味を持つことも大切ですが、探究学習の課題を決定する場合は、そこから絞り込んでいくことを意識しましょう。

情報の扱い方に気をつける

情報収集の際、情報に偏りがないように、さまざまな方法で情報を得ることが大切です。しかし、インターネットやSNS上には誤った情報も多く、全てが正しい情報とは限りません。人にインタビューしたり、意見を聞いたりする場合には、主観や偏見が入ってしまうこともあります。

情報収集の際には、1つの情報源からでなく、さまざまな情報をもとにして、自分の考えを醸成し、構築していくことが大切です。

分析の方法に気をつける

設定した課題の解決策を見つけるためには、収集した情報を分析することが必要です。しかし、小中学生にとっては、効果的な情報の分析方法が分からないことも多いでしょう。

お子さまが分析方法に困っている場合は、図や表を使ってみたり、何を目的に情報を整理するかを一緒に考えたりするなど、指示ではなく、サポートや提案としてアドバイスしてみてはいかがでしょうか?

発表した後のやりとりを大切に

探究学習では、1つのテーマについて自分で考えた後、それを発表することが大切です。自分で発表するだけでなく、ほかの人の発表や意見を聞くことで、新たな発見や気づきを得られることもあります。

発表の場でよい学びを得るためには、他者と積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。人の発表について、質問したり、感想を述べたり、互いにコミュニケーションを取ることで、さらに学びを深めることが期待できます。

探究学習をみらいキャンパスで始めよう

ここまで探究学習についてメリットや個人での進め方、おすすめのテーマなどを紹介してきました。探究学習は、興味や関心のあるテーマに焦点を当て、子ども自らが知的好奇心に任せて学習を進めていく経験ができます。学ぶことは楽しいと気づくきっかけになることも期待できるでしょう。

しかし、探究学習のテーマが思い付かない、探究学習を行っても発表する場がないなど、どのようにしてお子さまに探究学習を提供するかお悩みの方もいるのではないでしょうか?

ベネッセの学びコミュニティ「みらいキャンパス」では、小学生から中学生までを対象に、さまざまな探究学習を体験できる講座をご用意しています。子どもの「自ら学びを選ぶ」という気持ちを大切に、安心して学ぶことが可能です。「好きなことについてもっと探究したい」「1つのテーマについて深く考えてみたい」といった場合にぜひご活用ください。

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presented by 未来の学びプロジェクト







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