みらいキャンパス、初めての大規模 対面ワークショップを開催!(後編)
2024年7月14日(日)東京都多摩市にて「夏の探究はじめの一歩 キミだけの自由研究発見フェス」を開催しました。マインクラフト,バスボムづくりなどの科学実験,itaブロックによる街づくりなど,様々なワークショップが用意され,午前の部・午後の部で計約300名の親子が来場しました。
本記事では,それぞれのワークショップの概要や,子供たちの中にどのような学びが生まれたのか、各担当の想いなどを詳しくお伝えします。(後編)
【ワークショップ⑥】新しいアイデアってどう作るの?ロッテ直伝の考え方でミニ商品開発体験
株式会社ロッテの金澤氏が講師となり、ロッテの商品が生み出されたアイデアのコツを起点に親子で楽しく新規商品アイデアを生み出そうというミニワークショップを実施しました。
子どもたちは「ロッテの商品は実は〇〇と〇〇のかけ算でできている」ということを商品クイズから発見し、そのかけ算思考を模倣してオリジナルのアイデアを生み出してみるということをしていきます。
その過程では、親子きょうだいで好きなものを出し合い、その組み合わせで新アイデアを作るというワークがあります。
「こんなに好きなもの出てきた!」「もっと好きなものあるよ!」
自然と親子兄弟間で会話が弾みます。
「この好きなものの組み合わせありそう!」「絶対面白い!」
みんなで出したアイデアが発散していく様子がとても感じられました。
最後はオリジナルのお菓子を考える場面がありますが
「爬虫類が好きだから爬虫類×グミでグミの感触を爬虫類に似せてみる!」
のような子どもだからこその自由な発想とアイデアで、いろいろな「私の好きなオリジナル商品」が生み出された一日でした。
ロッテ社員の方も「大人では思いつかないであろう斬新なアイデアが出てきたりしてこちらも発見がとてもありました。」と振り返ります。
子どもたちが企業と触れ合う場所は、社会と子どもたちの学びを結び付けることができるとても良い機会です。その中でワクワクを見つけ自分なりの気づきを得ながら「好き」を見つけていくものだと思います。
また、子どもだけではなく大人側も子どもたちの発想力や創造力に学ぶことが大いにあるのではないでしょうか。そんな子どもたちと企業が出会うことでの化学反応がおきる機会の創出を今後も大切にしていきたいです。
【ワークショップ⑦】「コロコロそうち」をつくるうえで大切にしていた4つのこと
ピタゴラスイッチの制作に携わっていた講師の「ほっしー」と一緒に、木製のレールや画用紙、空箱などを使って「コロコロそうち」をつくるというワークショップを実施しました。このワークショップで大切にしていたことは次の4つです。
大切①:自分なりの工夫をすること
ワークショップの中では、あえて見本を提示しないようにしていたのですが、「画用紙のトンネルを使いたい!」「このお菓子の箱をゴールにしたい!」「途中で道が分かれるようにしたい!」など、子どもたちはそれぞれの自由な発想に基づく「こだわり」を見せていました。
大切②:たくさん挑戦して、たくさん失敗すること
ボールがゴールに入らず「失敗」をしてしまっても落ち込む子はおらず、想定外の動きをする箇所を特定し、「じゃあ次は××しよう…」と対処するための方法を考え、トライ&エラーをくり返している子がたくさんいたのが印象に残っています。
大切③:ものづくりの楽しさ、満足感・達成感を味わうこと
ボールが思い通りにゴールまでたどり着いたときの子どもたちは達成感に満ちていました。だれかに褒められるからではなく、自分の内側から「もっとこうしたい!」が溢れてきて、「コロコロそうち」がどんどん巨大化していき、1時間以上装置づくりに励んでいる子もいました。
大切④:物理法則(てこの原理/重力など)に興味を持つこと
うまくいかずに困っている子が、講師の「ほっしー」から「弱い力でドミノを倒したかったら上の方を狙うといいよ」といったアドバイスを受け、「ほんとだ!ふしぎ!」と驚くというシーンがありましたが、物理法則に興味を持つきっかけになったのではないかと思います。
【ワークショップ⑧】「なんで!?」が育む興味の種!「物理マジック」
子どもがまずは目の前の物理現象に興味を持ち、自分で仮説を立て、自分で確かめる。そんな体験ができる講座となりました。
40分という時間の中で、3~4つのマジック(実験)を実施。「ひも」を使ったマジックに加え、「ドローン」を使った実験も実施し、子どもたちは興味津々で取り組みました。
講座の時間が終わった後も、講師に質問に来る生徒が続出。
「さっき、こう言ってたけど、こんなことはできないのー?」
「これって、どういうこと!?」
「こうなったら、どうなるの??」
「おうちに帰ったら、やってみる!」
など、講座の時間で芽生えた興味の種が、講座以外の時間で育つような光景がありました。
そんな講座外の時間では、講師も最初から質問に対する答えを伝えるのではなく、対話をしながら、子どもが自然に仮説を作るように仕向けます。子どもが仮説を作ったのちに、講師が実際に目の前の実験器具でやって見せるというコミュニケーションを取ったことで、子どもも「仮説を考え、たしかめる」という流れを楽しめました。
【ワークショップ⑨】新しい価値観に出会える対話の機会「人間図書館」
ヒューマンライブラリーとは、自分の人生について語ってくれる人を「本役」として招き、少人数の「読者」がその方のお話を聴く場です。お話のあとには、本役の方を傷つけないという前提で質問したり感想を共有する時間もあります。筋ジストロフィーと闘いながら東京2020パラリンピック開会式に出演され、歌手としてもご活躍の小澤綾子(あやこ)さん。LGBTQとして同性への恋愛感情に気づき苦悩や葛藤を抱えながら子ども時代を過ごされた星竜也(りゅうや)さん。今回はこのお二人を本役としてお迎えし、また本役と読者の間に立って対話を進行してくださる「司書役」として橋本宜明さん・三代祐子さん、保護者の方・親子でいらした皆さんと共に対話の場を作りました。
病気のこと、幼少期のこと、いまの活動の原点となったエピソードを語ってくださったあやこさん。大人になってから本当の自分をカミングアウトすることで、人間関係を築く勇気や希望を語ってくださったりゅうやさん。お二人の物語と対話を通して、新たな視点を得られ、相互理解を深める機会となりました。小学生が読者として入った回では、本質を捉えた彼のコメントにより対話が深まったり、周りにいた大人に驚きと感謝の気持ちが広がったりという場面も見られました。
誰もが何かしらの生きづらさを感じる今の時代、特定の何かを特別視するのではなく個々の存在をありのまま受け入れ、一人の人間として敬意を持って接することの大切さを実感できることは、とても貴重です。いつの間にかできてしまった目に見えない心のバリアを溶かし、自分の価値観を研ぎ澄ませていけるこのような対話の機会を、これからも大切にしていきたいと考えています。
非日常を日常につなぐしかけ ~たからばこシート~
今回のイベント全体のタイトルは「キミだけの自由研究発見フェス」でした。
夏休みの直前という時期に「何かに興味を持つきっかけ」を提供し、子どもたちが熱中できるテーマを見つけてもらうことで、充実した夏休みを過ごして欲しいという、我々の願いが込められています。その際、イベントという『非日常』が「あー!楽しかった!」で終わり、『日常』とは切り離されてしまうと前述の我々の願いが達成されにくいのではないかと考え、「たからばこシート」を開発しました。
子どもたちの完成した「たからばこシート」を見てみると、「矢を長くすると遠くまで飛ぶ」ことに気づいた子が「矢をもっと遠くに飛ばせる条件を知りたい」と書いていたり、「マイクラで宝探しが楽しかった」という子が「マイクラ建築を学校の課題にしたい」と書いていたり、1つ1つのワークショップを楽しんでおしまい…ではなく、そこから芽生えた興味・関心を日常につなげようとしていることがわかります。イベント当日にそこまでは考えられなかった子も、長い夏休みの中でふとしたときにこのシートが目に入り、イベントで体験したことやそのときの感情を思い出しながら、それぞれの興味・関心を日常につなげる方法が思いつく…というシーンを生み出せていたらいいなと思っています。
今回、いつもはオンラインの学びの場「みらいキャンパス」が、ワークショップの形で、皆さんと実際にお会いしお互いを感じながら学び合う、という体験の場になりました。参加できる方が限られてしまうのが心苦しかったのですが、それでも、画面越しで仲良くなったあの講師に直接会いたい!、好きなマイクラでバトルできることに興味津々!実験を自由研究につなげたい!と、それぞれの想いを持って、多摩センターまで来てくださったことに感激しました。
はじめは緊張した面持ちで入り口をくぐったお子さん、暑い中少しお疲れ気味の保護者の方が、帰りにはすっかりリラックスした様子で、笑顔で話しながら帰っていく。お子さんの頭と心には、たくさんの刺激と問い、さらにもっと調べてみたい、やってみたい、という気持ちが芽生えたのだと思います。保護者の方にとっても、お子さんの新たな面、いろいろ考えていることや、成長を感じられる「発見」の場になっていれば嬉しいです。また、参加した講師や、私たち運営メンバーにとっても、皆さんと共に心が動く、ワクワクできる、幸せな場であったことをお伝えさせてください。
■オンライン講座は、年間を通して随時開催しています。
【公式】みらいキャンパス | ベネッセコーポレーション (benesse.co.jp)
Written by 共創ディレクター Noriko Arai