2023年3月に「みらいキャンパス」が開講となって早2年。これまでの実りと、これからの展望について、未来の学びプロジェクト 総合責任者の城座(しろざ)がお話しします。 

どんな未来、どんな社会を創りたいのか、によって、目の前の教育が変わる 

最近、企業活動や政府活動等で「DEI(ディー・イー・アイ)」という言葉をよく耳にします。DEIとは、「Diversity(ダイバーシティ、多様性)」「Equity(エクイティ、公平性)」「Inclusion(インクルージョン、包括性)」の頭文字からなる略称です。多様性や公平性を大切に、誰もが受け入れられる包括的な社会を創っていこうという取り組みを指します。戦争や民族間の争い、自国主義の台頭、人間活動による地球環境の変化などを背景に、社会の各所で、そうした方向性を掲げるポジティブな機運が増すなか、教育こそが、いちはやく、そうした世界観に向かいたい、と考えています。未来をつくるのは、私たち自身。そしていつか、若い世代に手渡していくことになります。子どもたちが大人になったとたん、急に「多様性、公平性、包括性!(DEI!)」と叫ぶのではなく、そうした思考や発想の機会を、小さなころから、日常の中であたりまえに持てていることで、よりよい社会や未来が、より現実的にひらかれていくことにつながるでしょう。大学受験の入試方式を通して、個人の人間性に着目する機会が増えたり、就職活動でも「ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)」の表現が重視されるなどの傾向もあります。少しずつ「大勢の中でどのくらい成績がよいか」だけでなく「どのような個性がある人なのか」をみるようになっていることも、こうした時代の方向に教育が向かっていることの表れといえるでしょう。

「多様性」を構成する、かけがえのない「個性」をこそ、伸ばしていく 

そんな時代に、自分の「個性」をしっかりと認識でき、受容できていることは、とても豊かな強みとなります。自分の強みや特性をしっかりわかっていて、唯一無二のものだと認識できる。これが「自立」の一歩です。自己受容ができている状態だと、他者のそれをも理解し、受容しやすくなる。そうして「共生」関係を築いていきます。自分のことも尊重しているし、同じように他者のことも尊重できる、という状態です。強みを出し合うだけでなく、自分の弱みも認識できていることで、仲間の弱みも受け入れられたり、他の誰かに頼ったり、他者の出番を創ったりすることもできるようになります。

そうして自分に閉じることなく、他者との関係性を育みながら、新しい価値や未来を「共創造」していく。そのために必要な力を、小さな頃から少しずつ、対話型の学びの機会を通して学んでいけるように、と構想や研究を進めているのが「未来の学びプロジェクト」です。 

個性を引き出し伸ばす、探究型、対話型の学びを少しだけ、取り入れる 

大人が毎日「やること」でいっぱいのように、子どもたちも忙しいかもしれません。学校での時間のほか、塾や受験勉強、成績をあげるための家庭学習、宿題をこなすだけでもたくさん時間を使う人もいるでしょう。将来を見据えての「習い事」などもあるかもしれません。そうした多くの要素の中で「これは自分が好きだから進めている学び」というのを、ひとつでも、ふたつでも持てていると、より自分の個性を認識し、自己肯定感を高めていく機会につながっていくことでしょう。学校や塾での勉強、習い事の中でそうした学びをみつけてもよいのです。もしくは、家庭で、自分なりに独自に進める学びがあってもよいでしょう。読書や動画視聴からもそうした学びの世界を広げることができます。ただ、そこに、だれかの応答や、横からの刺激や絡みがあったら、もっとその子の学びや興味が前に進んでいくのに、と思うことがあります。興味の発露や、得意なことのアウトプット、個性の発揮をしっかり受け止め、認め、伴走してくれるような仲間やおとながいる。学校の中だけで、もしくは、家族や保護者のかただけで、そうした環境を十分に用意するのは、なかなか大変なので、みらいキャンパスでは、その道のプロである講師のかたがたとともに、テクノロジーの力をうまく使いながら、探究的、対話型の学びの場を具現化していこうと試みています。

新しい春を迎え、みらいキャンパスも新しく生まれ変わります 

AIが生活やお仕事、学びの中に入り込んできたり、世界情勢がめまぐるしく変化したり。大きな移行期、転換点にあるともいえる2025年。未来の学びプロジェクトは、この社会の転換の勢いを、日々提供する学びの中にポジティブに取り入れながら、新しい学びの場づくりに、さまざまな形で挑戦してまいります。より多くのかたに、この学びの機会を体感していただけるよう、Peatix(イベントプラットフォーム、最下部にリンク)上で講座をご紹介していく形もとってまいります。そのほか、ベネッセ高等学院や、学校向け探究デジタル教材「キャリアナビ」等とも連動しながら、多くの子どもたちに学びをお届けしていきます。2025年度もさまざまな立場のかたのご意見やご感想をいただきながら研究開発を進めてまいりたいと思いますので、ひきつづきのご支援を何卒よろしくお願いいたします。

城座多紀子 Takiko Shiroza (みらいキャンパス総合責任者) 

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