歴史学で歴史を「自分のモノ」にしていく、という学びかた
「こんなふうに歴史を学べたら、こんな先生に出会っていたら、もっと歴史が好きになったかも!」講座の録画アーカイブをみたプロジェクトメンバーの全員がうなった!「こんなの見たことがない!」レベルのスゴイ授業が、歴史好きの集まる、少人数、対話型のレッスンだから生まれ、育っている。
「みらいキャンパス物語」記念すべき第一弾は、木野雄介(きのてぃ)講師の歴史学の講座レポートをお届けします。
■歴史学的アプローチで「もしも」を探究!キミも戦国ハカセになろう!!
■参加者の学年:小学2年生、3年生、4年生、5年生、6年生、中学1年生
歴史は「史実を正しく覚えるもの」ではない。探究するものなのだ!
木野講師が子どもたちと共有したいのは「歴史を正しく覚えること」ではありません。まだ明らかにされていない「歴史の物語」を自分なりに探究し(歴史学)、いま、自分たちが「在ることの意味」(存在意義)を知り、これからの時代の文脈を自ら紡いでいこうとするその視点や姿勢を持てるようにしていく。歴史上の人物が、なぜその判断をしたのか。歴史は常に「誰かの意志や、そうならざるをえない状況」によって動いてきた。1つのピースが違っていたら、そこが分岐点となり、また違った歴史のストーリーが紡がれていたはず。それはすべて、人間の所業が成し得てきたもの。歴史探究は、人間探究でもあるのです。
自分だったらどうしたか?を常に問うていくのが、きのてぃスタイル
たとえば、「本能寺の変」で織田信長を倒した明智光秀。きのてぃは、子どもたちに問います。
「自分だったら、本能寺の変を起こしたか、起こさないか」。子どもたちはいくつかの証拠や手がかりをもとに、必死になって考えます。当時の重要な登場人物である戦国武将たち。兵力の違い。姻戚関係。領土の大きさや地理関係、相互の影響力などの地政学。明智光秀にとっての、信長の存在感。室町幕府最後の将軍、足利義昭の立場や思惑。子どもたちからは、きのてぃが思いつかなかったような、新説も飛び出します。長宗我部氏(ちょうそかべ=四国の戦国武将)や、真田氏(信濃国の戦国武将)との陰謀説、光秀がもともと仕えていた美濃国(岐阜)の斎藤道三から言い渡されていた説などまで飛び出し、きのてぃは大喜び!歴史談義は尽きることがありません!
子どもたちの個性に目配りする、きのてぃの細やかな心遣いとおおらかさ!
きのてぃは、歴史が好きで、人間が好きで、子どもたちのことが大好きなのです。集まったみんなを、全体で視るのではなく、ひとりひとりを、よーく視ています。きのてぃとの、一期一会の歴史談義が、子どもたちの胸にどう残り、次の学びへの探究心がどう育っていくかを丁寧に見守っています。みんなが興味をもてるように導入部分のお話は丁寧に、おもしろおかしく!そして、皆に話題を振り、小さなリアクションやコメントも大切に扱います。子どもたちはみんなが「自分の意見が採用された!」と興奮気味です。
身につくのは「一生モノ」の「探究サイクル」
受講者のひとり、Sくんのおうちのかたは「わからないことを、証拠や手がかりをもとに仮説をたてて実証していく、その思考プロセスが対話の中で自然に自分のモノになっていく様子がわかります」と語る。
受講後の生活の中でも、「これは、あのことをもとに、こうなっているのでは」とファクトを確認しながら仮説立てする様子が見られるそう。
「新しい知識」を「理解し、覚える」というレベルに学びをとどめるのではなく、予想し、仮説をたて、ファクトを集め、自分なりに『確かなもの』として蓄積していく。それを人とぶつけあい、対話しあい、確かめ合って、自分の考えをより研ぎ澄ませていく。わからないことは、また調べるところからはじめてみる。違うな、と思ったら立ち止まって、また仮説を立て直す。
それこそ「終わりがない」でも「やめられない、止まらない」のが「好奇心を起点にした学びの本質」なのでは、とあらためて考えさせられた、きのてぃの歴史講座でした。
■木野講師の講座 【日本史英雄伝〜織田信長〜 歴史学的アプローチで「もしも」を探究!キミも歴史ハカセになろう!!】は11月にも開催予定です。次はどんな時間が生まれるのか、ますます楽しみです。
【公式】みらいキャンパス | ベネッセコーポレーション (benesse.co.jp)
Written by Takiko Shiroza(みらいキャンパス総合責任者)