「なぜ?どうして?」を起点に、博士と進める果てしない「毒」探究の旅

みらいキャンパス物語
2023.12.07

ついに実現!2023年夏に実施した究極の探究プログラム「『毒』の不思議にせまる!博士と探究プロジェクト」。「毒好き博士」こと、石塚真由美先生(北海道大学獣医学研究科 教授)のもとに「毒好き」な小学生たちが集結!ホンモノの博士と対話しながら探究的な学びをトコトン深めていく、という超贅沢なプログラムで、いったい何が起きていたか、お伝えします!

『毒』の不思議にせまる!博士と探究プロジェクト 
■参加者の学年:小学3~6年生 全4回 

※当講座は、対話のプロフェッショナルが集うNPO法人ミラツクさんと、研究者と社会をつなぐWEBメディアを運営されている株式会社エッセンスさんとのコラボレーションにより実現しました。 

「モヤモヤ」「なぜ?」「どうして?」を大切にする 

ファシリテータ―のミラツク北嶋友香さんが最初に強調して子どもたちに伝えたのがこのこと。自分の感情に耳を澄ませて、わきおこった「不思議!」「おもしろい!」「ここがよくわからない!」を大切にする。これが探究のスタートライン。自分の「問い」を転がしながら、「知りたい!」気持ちにそって学びを進めていくスタンスを子どもたちのマインドの中心に据えます。 

身近な話題からはじまる、博士からの「毒ってすごい」のシェアタイム 

どんな食べ物にも、それどころか、水や酸素でさえも分量次第では毒となりえること。犬や猫などが苦手な毒や、解毒の機能、毒を体外に排出する機能などについて、博士が説明していきます。みんなが気になる、カエル、クラゲ、サソリ、フグなども、毒と戦いながら、一方、身を守る術として、毒を活用しながら生きていることを知ります。子どもたちは、驚いたり、目をまるくして手元の図鑑を開いたり、質問したくてしたくて、手をあげっぱなしの子も、、、! それにしても、さすがの毒博士。この世界の奥深さに皆の興奮度が高まっていきます。 

思い思いの「問い」を立てながら探究を進める 

「クラゲの毒」「水銀」「カフェイン」「化学兵器」と、子どもたちが「毒」について知りたいことは様々です。それぞれが不思議に思ったこと、自分なりに調べたこと、次に知りたいこと、を持ち寄り、出し合いながら、学びの世界を深めていきます。博士も、多方向からくる「問い」にそれぞれ寄り添い続けてくださいました。どんな問いにもこたえたり、一緒に考えてくださったりする博士の存在がうれしくて、子どもたちは次々、くらいついていきます。子どもたちの思考の道筋をかきとめていく、ワークシートのフレームが探究の旅の手掛かりになります。 

学びの探究は「深い深い海を探究する」に似ている 

最終回では、子どもたちが、それぞれのテーマで、思い思いに発表。「狂犬病」「植物の毒」「キノコ」「鉱毒と公害」など、熱のこもった学びのシェアが連なります。同じ「毒」でもこんなに多様な切り口があり、それぞれに深い探究ができるんですね。それぞれの探究の成果について、博士がコメントをくれて、「マイ探究マスター認定証」を授与くださいました。 ホンモノの博士にたくさん褒めてもらって、子どもたちはとてもうれしそう。 

この4日間で何より感じたのは、「毒」の学びは、生き物から生き物へ、生き物から人間へ、食べ物、人間社会、環境、地球、多様性、、、とつながっており、その学びの深さは、とてつもなく、海よりも深いのだ、ということだったように思います。 

自分もこんなふうに好きなことをトコトン探究してみたい! 

博士に褒めてもらってうれしそうだった子どもたち。ある子が、自分のニックネームを「テトロドトキシン」(フグ毒の名称)としていましたが、石塚博士にも「好きな毒」があるそう。好きなものを研究しながら、それを本当に楽しそうに子どもたちにシェアしてくださる博士の姿が、きっと子どもたちの心に残ったことでしょう。「研究者」「博士」という生き方、その探究の旅の道のりの広さ、深さ、尊さ、畏敬の念も一緒に感じていたにちがいありません。自分の興味関心にそって、好きなことをどこまでも追求していくことの楽しさ、ワクワク感を少人数でぎゅっと一緒に体感できた、とっても貴重な4日間となりました。 

制限のない、究極の探究体験をした子どもたち。次はどのような探究の道に進んでいくのか、それぞれの探究の旅路をトコトン楽しめるようになっていってもらえるよう心から願っています。

Written by Takiko Shiroza(みらいキャンパス総合責任者) 

NPO法人ミラツク 
株式会社エッセンス

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