「子に任せて見守る」が育んだ主体性や思考力、自信とは?

未来VOICE
2023.12.07

未来VOICEシリーズは、連載のインタビュー記事です。インタビューの対象は学歴・経歴不問、「好きなことを大切に」「今をイキイキと生きている」「若者」の3つに当てはまる人。そんな彼らの今と子ども時代をひもとくことで、これからの教育を考えるヒントにしませんか?

第1弾はこのかたにインタビュー!

石田茉莉子

1997年生まれ、東京都出身。公立小学校・私立中高一貫校・慶應義塾大学環境情報学部卒業。2020年4月に楽天株式会社に入社、2021年3月から株式会社ファン・マーケティングでマーケティングコンサルタントとして従事。

今はとにかく仕事が楽しい!

ーー仕事をとっても楽しんでいるそうですが、現在どんなお仕事に就いていて、どんなところが楽しいですか?

マーケティングコンサルタントとして、クライアントの課題解決に向けた併走支援を幅広く行っています。内容としては、マーケティング戦略の設計や施策立案、データ分析と改善提案です。

デジタルマーケティングの特性上、結果が数値として明確に出るので、自分の頭の中で考えたことが数値で返ってくるのが楽しいです。結果が良ければ嬉しいですし、悪ければ分析して要因を探り、「こうすれば改善できるのでは」と新たに仮説を立てていくのが楽しいです!

また、これは持論ですが、マーケティングに絶対解はないと思っています。業界の変化が激しいなかで、クライアントの状況や与件、目標に合わせて、仮説検証を繰り返しながらより良い方法(解)を見つけていくのが楽しいですね。

子どもの頃はなんでもやりたがる子

ーー分析したり、答えがないことを考えたりするのが好きなのは、子どもの頃からですか?

小さい頃はスポーツが大好きだったのですが、「こうしたらもっとうまくなるのではないか」「できないのはここがダメなんじゃないか」みたいに考えていたと思います。それって小さな小さな仮説検証を繰り返すということで、今の仕事と本質は似ているかもしれません。子どもの頃に自分で考えてやってみて、手応えを感じる体験を小さく積み上げたことは、今につながっている気がします。

ーー習い事はスポーツが多いようですが、学校の成績についてご両親から言われることはなかったですか?

当時は勉強すればするほど点数が上がるのが楽しくて、勉強はよくしていたと思います。それもあってか、成績について両親から何か言われることはなかったですね。記憶の限り「勉強しなさい」と言われたこともなかった気がします。勉強もスポーツも、練習したり努力したりすることで「できない」が「できた!」になる感覚を子どもの頃から成功体験として積み上げられたのは、今につながっていると思います。

家庭の方針は「子に任せて見守る」

ーーご家庭は、子育てや教育についてどんな方針でしたか?

私が感じていたのは「子に任せて見守る」でしょうか。両親から「これどう?やってみる?」と薦められることはあっても、「これをやりなさい」と強制されたことはありませんでしたね。習い事や中学受験、部活、大学受験…全てにおいて、私の意思を尊重して、やりたいことをやらせてもらっていました。特に小学生の頃は、たくさんの習い事のうち、すぐにやめてしまうものもありましたが、やめることも含めて尊重してもらっていた印象があります。子どもの頃の興味や好奇心を満たされたことが、自己肯定感にもつながっている気がします。

ーー受験やスポーツといった競争環境が多かったと思うのですが、周りと比較されたことはありましたか?

世間体を気にしたり、ほかの子と比較したりという発言をされたことは、勉強においてもスポーツにおいてもなかったと思います。周りと比較して否定されたことはなかったのは、周りよりも私自身をよく見てくれて、認めてくれたからではないかと思います。

任せてくれたから、今がある

ーーご家庭の「子に任せて見守る」という方針は、今の自分に影響していると思いますか?

とても思います!まず、誰に言われるでもなく、自分で選んで自分で決めるという感覚が常にあったので、結果に対して責任を持つことや主体性がセットで身に付いた気がします。与えられるのではなく、欲しいものは欲しいと主張し、手に入れる努力をする感覚でしょうか。

そして、良くも悪くも自分でやった結果で、うまくいけば嬉しいですし、うまくいかなければできるまでやる、その手応えが自分のものとして積み重なり、自信になったと思います。その成功体験を子どもの頃から積み上げられたのは本当に宝だと思います。同時に、「考える→やってみる→分析してより良くする」という楽しさを子どもの頃に知れたので、今の仕事が好きなのかもしれません。

両親に、今だから言えること

ーーご両親に今だから言える気持ちがあれば教えてください。

「良いときも悪いときも、信じて任せ続けてくれてありがとう」ですかね。両親も多分、「こんな子になってほしい」「これをしてほしい」という要望があったり、私がやることに口出ししたくなったりするときもあったと思うのですが、そこを押し付けずにいてくれました。そして、任せてもらいつつよく見ていてくれました。特に、高校3年生の12月、大学入試直前にもかかわらず点数が伸びず心が折れたとき、「頑張ってる自分を少しでも認めてあげたら?」と母にかけてもらった言葉は今でも覚えています。頑張っているのをよく分かってくれているからこそ、「頑張れ!」と鼓舞するのではなく、自分を受け入れるための言葉をかけてくれたのではないかなと思っています。あの言葉があったから、諦めずに全力を尽くすことができました。

そんなふうに、順調なときもそうでないときも、私のやりたいことを否定せずに思い切りさせてくれて、認めてくれて、大事なときは支えてくれたことを本当に感謝しています。今、人生を自分らしく生きられているのは、家族のおかげですね。

ーー貴重なお話ありがとうございました!

編集部から

今はとにかく仕事が楽しいと話す石田さん。インタビューでは、大手企業に新卒入社後1年たたずに中小企業に転職したという話もありました。なんとなく「3年は働くべき」とも言われたりするなか、大手のブランドよりも自分でやりたいことを選ぶ選択ができたのは、子どもの頃から「自分で決める」という経験をたくさんしているからであり、ご両親の“子どもを信じて任せる”姿勢が、今の石田さんの礎にあるのだと感じました。私も1児の母として、子育てに活かしたいと思います!

Written by Yayoi Fujisawa

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