好奇心がすべての原動力。子どもの好奇心の芽をどう見つけるか、どう育むか。

みらいキャンパス物語
2024.01.25

「“わが子“のための、“私のおや力“を俯瞰で見つめる。探究する。」
伸びゆくわが子を柔軟に受け止め、応援するために、親自身が自分の思考を柔らかくする、おとなのためのトークイベント、おや力探究Café。2023年12月14日に第2回が開催されました。
今回のゲストは『ライフピボット~縦横無尽に未来を描く人生100年時代の転身術』の著者、黒田悠介さん。多くの若者のキャリアを見つめてきた黒田さんのお話は、記憶のメモに書きとどめておきたい名言の連続でした。

好奇心こそが、「どんな未来になっても活躍できる人」の原動力。

キャリアアドバイザーとして、また、コミュニティの運営者として多くの人に出会ってきた黒田さん。冒頭では、その黒田さんから見て、子どもたちの未来に必要な力を伺いました。

「今の時代は、オンラインゲームをしながらでも外国の人とつながり、世界の人と語りあえる。そんな風に、手を伸ばせばどんな情報でも入ってくる時代には、“好奇心格差”が生まれます。好奇心ドリブンで動き出せるかどうかで、ひとりひとりの未来は大きく変わってくると思うんです。」
つまり、すべての原動力となる豊かな好奇心を持っているかどうか、その好奇心に従って自ら動き出せるかどうかが、大人になってからもとても大切、ということ。
では、子どもの好奇心を育むにはどうしたらいいのか。親に何ができるのか。このテーマを軸に、お話は展開していきました。

やりたいことは、やったことの中からしか生まれない。

「子どもの好奇心は赤ちゃんの指差し確認の頃から始まっている。実はもともと持っているんですよね。」と黒田さん。
「例えて言うなら、ガレージに持ち込んだ宝物で遊んでいるみたいな。そういう体験の中で、もともと子どもの中にある好奇心は、育まれていきます。」
確かに、自分の大好きなものを持ち込んだ秘密基地のような場所で、子どもの目(心)がキラキラ輝いている様子は目に浮かびます。
「ただ、その持ち込みたい宝物にアクセスする方法を、子どもたちは持っていない。いわば、最初はガレージが空っぽの状態。だからこそ、持ち込みたい宝物を、いかに見つけさせてあげるか。その出会いを与えてやるのは、親の役目だと思うんです。」
つまり、いろいろなことに出会う経験の数や体験の量を増やしてあげること。興味を持ったことを楽しむ時間を与えること。「探索する期間」と「深化させる期間」が大切、と黒田さんは語ります。
「やりたいことは、経験したことの中からしか、出てこない。まずはたくさん出会うこと。そして、その中から興味を持ったものに夢中になること。親はその体験を見守りたいですよね。」

親の効率思考を外してみる。時には子どもの好奇心を暴走させることも大切。

確かに子どもには、できることならいろいろな経験も、習い事も、させてあげたい。熱心な保護者ほど、子どもにさまざまな体験を与えている方も多いかと思います。では、子どもを見守るとき、親はどんな心構えでいればよいのでしょうか?

「大事なのは、タイムパフォーマンスを無視すること。」と黒田さん。
「大人は無意識に、どうしても成果や結果を求めがちですよね。例えば “この本買ってきたから読みなさい” とか、“この習い事しているんだから上達してほしい” とか。そうやって結果や成果を求めると、ついつい最短経路を目指してしまいがちになる。つまり、短期的なタイムパフォーマンスを求め、効率思考になっているんです。」
でも、子どもの好奇心を見守るときには、その思考を外したい、と黒田さんは語ります。
「例えば本を買ってきても、読んで、じゃなくて、子どもが自由に手の届くところに、さり気なく置いておけばいい。読みたければ読めば~?でいいんです。」
「何かに夢中になっているなら、親の都合で止めるのではなく、とことんやらせてあげればいい。その先に親が期待してしまうような成果や結果がなくても、夢中になったプロセス自体、その経験そのものが大事。」
「3歩進んで2歩下がっても、その時には5歩分の体力がついている。そういう目で子どもを見守りたいですよね。」

親が夢中なものに子どもを巻き込むこと。時には周りの力を借りることも大切。

では、例えば子どもが本を読んでくれない、何事にも興味をあまり示さない。そんな時はどうしたらよいのでしょう?
「それはまだ子どもにとっての宝物が見つかっていないだけ。だったら、親が横でやってみせたらいい。親が夢中になっていることを子どもに見せて、巻き込めばいいのでは。」
例えば親が本を読んでいる様子を見せる。親が音楽が好きなら、一緒にその音楽を楽しんでみる。親が興味をもっているものを子どもにも見せてあげる、一度一緒に体験してみることが大切、と黒田さんは言います。
「親自身が楽しんでいるものなら、ホンモノを語れるでしょう?」

参加者の方の中からは、「時々、家にいろんな人を呼んでいろんな国の料理を食べるのを楽しんでいる」という方も。「すごく素敵ですね!親ひとりの経験や体験で伝えられることは限られている。だからそうやって他の人の存在や経験の力を借りるのも、とてもいい方法ですね!」
他にも、参加者のコメントに各家庭のtipsが見られ、明日からできる具体的な方法案も、いくつも見つかりました。

アバター参加・チャットコメントで参加もOK。リラックスして参加できるトークカフェ。

書ききれないほどの名言が溢れた、黒田さんとのトークカフェ。平日夜の時間帯の開催ということもあり、カメラオフでのご参加の方も多かったです。それでも「聞いているだけで十分すぎるほど学びが多かった!」という声も。また、チャットでも十分に参加いただくことができ、ゲストの黒田さんからも「皆さんが熱心に聞いてくださっているのがよく分かった」とのコメントをいただきました。
無理せず、気を張らず、リラックスしながらだからこそ、自分の思考や子育てを俯瞰で振り返りながらたくさんの気づきが得られる。それこそが「おや力探究Café」の大事にしていることです。

次回は2/22(木)20:00~。「新しいロールモデルに出会う」をテーマに、二十歳の起業家たち4名をお迎えして。

次回の「おや力探究Café」のゲストは、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部に通う、男女各2名、計4名の学生起業家・活動家たち。

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部は、日本で唯一のアントレプレナーシップ(起業家精神)教育をテーマにした学部です。昨年末話題になった、「あの夏を取り戻せプロジェクト」のリーダー、大武さんもこの学部の3年生。今回はこの学部の2年生で、すでに起業して会社を運営したり、学生団体をリーディングしたりしている4名の男女にゲストとしてご登場いただきます。

アントレプレナーシップを学ぶ彼らが今、それぞれにどんな挑戦をしているのか、自己決定力のかたまりのような彼らがどう育ってきたのか、自分たちのこれからをどうみているのか。二十歳の今の地点から見ている自分自身の現在・過去・未来を語っていただきます。
親の世代を軽々と超える行動力と熱さ、若者らしい素直さと柔らかさを持つ彼らひとりひとりの話や、彼らの言葉で語る親の姿・大人のありかたに大きな刺激を受けること、間違いなしです。必ずや、他にはない、気づきに溢れるトークイベントになります。ぜひご期待ください。

▽2月22日(木)20:00~ おや力探究Cafeお申込みはこちらから(zoom開催・参加無料)

Written by おや力探究Café店長 Miki Isogai



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