【プロジェクトメンバー対談01-中編-】未来に向けた学びの在り方や新たに構想する教育コンテンツとは

プロジェクトメッセージ
2023.10.30

「未来の学びプロジェクト」とは、VUCAと言われる不確実でより変化が激しくなる未来に向けて、これまでの教育の在り方にとらわれない、「真にあるべき学びのあり方」を共に探し、創造していくプロジェクトです。

前編では、「未来の学びプロジェクト」立ち上げの経緯やこれからの教育について感じている課題についてを伺いました。中編では、これまでの未来会議で議論するなかで見えてきた、未来に向けた学びのあり方や新たに構想する教育コンテンツについてご紹介します。

―プロジェクトの活動のひとつとして、「未来会議」を実施していますよね。改めてその活動内容について教えてもらえますか?

城座
未来会議は、「これからの未来にあるべき学びの姿」を保護者の方々や教育に関心が高い方々と共に語り合い、共に探し、共に創造していくための場です。2022年2月にスタートし、オンラインで月に1回開催していました。参加者の皆さんは未来や現状の教育についての課題に想いのある方が多く、毎回議論が盛り上がりました。
さまざまな立場の人が参加されますが、共通しているのは教育に対する熱量ですね。そんなみなさんと出会い、共に語り合えることにまず意義を感じています。
最初は探りながらの開催だったのもあり、教育について広く伺っていく形で始まりましたが、2回目以降は前回で見えてきたキーワードや論点をもとにテーマを設定していきました。皆さんと議論するなかで生まれた視点をどんどん深められ、未来に向けてあるべき学びのあり方の輪郭が見えてきたように感じています。

―各回がつながっているのですね。見えてきた輪郭とは、具体的にはどんなことですか?

城座
「自分軸」「主体的な学び」「対話型の学び」「自己肯定感」「多様な個性」がキーワードとして多く挙がりました。「未来の学びの姿」とは、主体的かつ対話型のやりとりの中で、自己を認め、他者を受け入れる体験を積み重ねられるものではないかと。そのためには、「多様な個性を受け止めながら、各人の自己肯定感を高めていく教育を社会全体で創っていく」、そうした環境づくりが必要ではないかということが見えてきました。
そんな中で生まれたのが、「みらいキャンパス」です。

―このプロジェクトから生まれたコンテンツというわけですね。未来会議でのいろいろな議論を踏まえ、社内ではどんな議論があったのでしょうか。

城座
まず、未来会議での議論は全て録画させていただいていまして、3〜4人のグループに分かれた議論を含め、全て拝見しています。皆さんの考えを吸収するためです。どのような方々が参加くださっていて、どのような意見が出ているのかを確認していくうちに、やっぱり「個」を受け止める教育が必要だな、と感じました。

―「やっぱり」ということは、元々社内で議論があったのですか?

城座
はい、日本の子どもたちって他国の子どもたちと比べて自己肯定感が低いと言われていますが(※1)。
これだけ一生懸命に勉強しているし、習い事をする子も多く、親御さんも愛情いっぱいなのに、なぜ自己肯定感が低いのか。議論していくなかで、「一律のものさしで測られる」という環境が、自己肯定感を下げるのではないかという話になりました。

―たしかに、ものさしと相性が良ければいいですが、相性が悪いと評価されにくいということになりますね。自己肯定感を下げないためにはどうすればいいかという議論はありましたか?

城座
自己肯定感を下げず、より高めていくためには一人ひとりをよく見る必要があると思っています。その子が何をしたくて、なにに興味を持っているのかをよく見て、その子の意欲やモチベーションを尊重してあげられる大人が周りにいることが大切です。親御さんのほかにも、そうした大人と出会えるようにしていく環境や仕組みをつくっていくのが私たちの役割ではないかと。

―その気づきから、「少人数×対話型」「ロールモデル」という、「みらいキャンパス」の形が見えたのですね。

城座
そうです。一人ひとりをよく見るには、少人数の対話型であることが望ましい。また、対話する相手も、職業や分野にとらわれず、VUCAの時代を渡り歩きながら自分なりの考えをもって行動している大人がいいなと。そういう良い影響を与えるロールモデルと出会うことが、子どもたちの未来をつくるのではないかと思っています。

―なるほど。未来会議を踏まえ、たくさんの議論を重ねて生まれたコンセプトなのですね。ちなみに、齋藤さんは小さい頃にそのような出会いがありましたか?

齋藤
僕ですか?中学生のころ阿波踊りをやっていました。

―阿波踊り!

齋藤
そうです!毎年夏休みに幼児からおじいちゃん、おばあちゃんまでみんなで集まって体育館で練習していたのですが、その時に高校生の先輩に数学の宿題を見せてもらったことがあります。もともと数学は好きだったのですが、見たことのない記号にワクワクして、「もっと知りたい!」と思うようになりました。中学生ながら、高校数学の参考書を買って読んだりしていました(笑)。自分で学びを深めていくのがおもしろくて、気づいたら大学で数学を専攻するくらい、数字の世界を好きになっていました。

―その高校生との出会いが齋藤さんに大きな影響を与えたのですね!

齋藤
その通りです。その当時はそれが重要な出会いとは思ってもいませんでしたが、自分とは環境が異なる人と出会うことは本当に大切だと思っています。子どもの頃に良い刺激をもらえる大人に出会うことで、自分の知らない自分に出会うことができますし、僕自身そうでした。「ロールモデル」というキーワードに行き着いたのも、納得です。

―こうした未来会議、そしてプロジェクトの議論で生まれたのが「みらいキャンパス」というわけですね。

城座
そうなのです!
みらいキャンパスとは、「ひらけ、想像を超える未来」をテーマに、その道のプロフェッショナルな方をお呼びして授業を行う「オンライン・対話型のライブレッスン」です。どんな講師をお呼びして、ロールモデルの一人として、子どもたちと語り合っていただくか、にこだわっています。

―大人が見ても楽しそうな授業ばかりで、私も参加したいくらいです(笑)。 子どもだけでなく、大人の授業もあるのですよね?

城座
はい。小学生を対象にした「こども授業」、大人を対象にした「おとな授業」、親子を対象にした「おやこ授業」の3パターンがあります。もうお子さんも大きくなったけれど、子育ての経験から教育に興味がある、あるいは、子どもの教育について興味がある学生さんなど、多くの方に参加していただいて、これからの未来に向けての教育を一緒に創っていきたいと思っています。

―講師の方々は全員”その道のプロ”とのことですが、授業をするにあたってどんなことに工夫をされていますか?

城座
講師の方々には“生きざま”を見せて欲しいとお願いしています
知識以上に、「なぜ、その道を極めようと思ったのか」や「なぜその道がおもしろいと思うのか」などを子どもたちに伝えて欲しいと思っています。“講師のかたの人間性”が印象に残るような授業をして欲しいなと。

齋藤
知識を教えるだけの場ではなく、おもしろい人に出会う場みたいにしていきたいなと思っています。僕も授業を担当するのですが、「齋藤先生おもしろいよね」と言われるような授業を目指しています!

後編に続く

※1出典: 平成26年版 子ども・若者白書(全体版)  >  特集 1 自己認識, 内閣府
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26honpen/tokushu_02.html
(最終確認:2022年6月10日)

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